研究シーズ集

シリコンナノ粒子凝集膜の高速作製技術

ものづくり(ナノテク・材料)

研究者 工学部 機械工学科
西田哲 准教授

研究概要

本研究では、報告者が開発した高速製膜手法であるプラズマジェットCVD法を使用してシリコンナノ粒子が凝集して堆積したシリコンナノ構造膜の高速製膜を行いました。このような構造のシリコン材料はリチウムイオン二次電池用の負極材料としての利用が期待されています。CVDで製膜できる他の原料についても同様の膜を作製できる可能性があります。

研究内容

(1)新規製膜技術

プラズマCVD法は薄膜、微粒子の作製技術として幅広く使用されています。
プラズマジェットCVD法の特徴
 製膜速度が速くない(nm/s) ため生産性の面で製膜速度の向上が必要です。そこで、プラズマCVD中にガス流れを高速噴流で供給する新規製膜手法のプラズマジェットCVD法を開発しました。 製膜速度は最高10 μm/s (従来法の1万倍)です。さらに、ノズル形状の変更、基板回転製膜装置と組み合わせることにより3cm角の基板に1分以内で数μm厚で均一製膜を達成しました。

(2) ナノ粒子凝集膜

本研究では条件によりナノ粒子が凝集して堆積した膜を作製することができます。このようなナノ構造を持つシリコン膜は、現状使用されている炭素系材料に比べ理論比容量が10倍大きいため、リチウムイオン電池の負極材料としての利用が検討されています。また、このようなナノ粒子が凝集した構造は堆積の原理よりシリコン系に限って起こる話ではなく、プラズマCVDで製膜を行う他の原材料系でも実現可能です。シリコンに酸素と炭素を加えたSiOC系の材料の開発も進めています。

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活用分野・用途・応用例・商品例・事業化のイメージなど

リチウムイオン二次電池の負極材料としての利用

シリコン負極にすることでバッテリーの小型化、高容量化につながると期待されています。

ナノ粒子の高速作製

今回はシリコンナノ粒子について紹介しましたが、原理的にはプラズマCVDで製膜を行うことのできる材料全てにおいてナノ粒子の高速・均一作製(10μm/min)が可能です。

資料・ポスター

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キーワード

高速成膜、プラズマジェットCVD、シリコンナノ構造膜、リチウムイオン電池、負極材料

出展した展示会

  • 中部イノベネット シーズ発表会2019