ウイルス移行の心配のない新規異種移植用ブタ作製技術
ライフサイエンス(医療・福祉)
研究者 |
高等研究院 髙須正規 准教授 |
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研究概要
ブタの臓器をヒトへ移植するという異種移植が現実的になってきました。異種移植においては遺伝子操作されたブタを作製する必要があるのですが,これまでの遺伝子改変技術ではブタ由来のウイルスに感染するリスクを排除できません。そこで,我々は生きたブタから卵子を採取し,遺伝子改変ブタを作製する技術を開発しました。この方法ならば,異種移植用の臓器をもつブタにブタ由来のウイルスを持つリスクが大幅に減少します。
研究内容
これまで,ブタにおいて遺伝子改変を実施するに際し,食肉処理所に由来するブタの卵巣・卵子が用いられてきました。食肉処理場で改修された卵巣はビーカーなどに集められます。この時,処理されたブタのうち1頭でもサイトメガロウイルスなどに感染した卵巣があると,その中にある卵巣・卵子がウイルスに汚染されるリスクが高まります。
また,食肉処理されたブタの卵巣が集められ,卵巣の中の数百個の卵子を使って遺伝子改変ブタが作製されます。そうすると,作製された遺伝子改変ブタの母親がどのブタなのかを判定する術はありません。言い換えると,これまでの方法で作製された遺伝子改変ブタにおいては,トレーサビリティーが取れないという問題が存在していました。
しかし,私たちは生きたメスブタから超音波診断装置を用いて直接,卵子を採取します。このため,作製された遺伝子改変ブタの両親は明確に分かります。また,衛生的に管理されたブタからこの方法で卵子を採取すれば,作製された遺伝子改変ブタにウイルスが感染しているリスクは存在しません。
資料・ポスター
キーワード
遺伝子改変,異種移植,ブタ,生殖発生工学
出展した展示会
- イノベーションジャパン2024