機能性食物繊維ペクチンによる腸管免疫調節作用
ライフサイエンス(アグリ・食品)
研究者 |
応用生物科学部 応用生命科学課程 食品生命科学コース 北口公司 准教授 |
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研究概要
水溶性食物繊維の一種であるペクチンが、小腸のパイエル板や大腸の免疫細胞に直接作用し、炎症の増悪化を抑制していることを発見しました。炎症性腸疾患や食物アレルギーの発症を予防できる食品や薬剤の開発を目指し、腸内細菌叢に依存しない新規免疫調節オリゴ糖の同定とその作用機序の解明に取り組んでいます。
研究内容
(1)食物アレルギー予防作用
ペクチンを、卵白アレルギーモデルマウスに経口投与すると、アレルギー性の下痢の発症率が低下することが判明しました。また、小腸のパイエル板では、CD11c陽性免疫細胞の活性化が減弱していること、その抑制作用はペクチンの側鎖が重要であることを発見しました (Ishisono et al., J. Nutr. Biochem. 2017)
(2)大腸炎抑制作用
側鎖構造の異なるペクチンを大腸炎モデルマウスに給餌した結果、側鎖が豊富なオレンジ由来ペクチンで、大腸炎保護効果が観察されました。一方、側鎖の少ないシトラス由来ペクチンでは、大腸炎の保護効果を示しませんでした。
活用分野・用途・応用例・商品例・事業化のイメージなど
活用分野
食品産業における機能性食品の開発・製造,炎症性疾患の予防・治療薬の素材
用途・応用例
炎症性腸疾患や食物アレルギーの発症を予防できる特定保健用食品や機能性表示食品などの健康食品並びに新薬の材料
資料・ポスター
キーワード
水溶性食物繊維、ペクチン、炎症抑制、炎症性腸疾患、食物アレルギー、新規免疫調節オリゴ糖
出展した展示会
- 産学連携フェア2018