抗菌ペプチド「ナイシン」生産乳酸菌
ライフサイエンス(アグリ・食品)
研究者 |
応用生物科学部 応用生命科学課程 食品生命科学コース 中川智行 教授 |
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研究概要
私たちは岐阜地域から単離した岐阜乳酸菌ライブラリーの構築を目指しており、その乳酸菌株の細胞機能を様々な指標で評価し、そのリスト化を試みています。今回は、乳酸菌株のもつ抗菌活性とその抗菌ペプチド「ナイシン」の生産能を評価し、リスト化しました。
研究内容
(1)岐阜乳酸菌株の抗菌活性の評価
研究室にてスクリーニングした岐阜乳酸株252株のEscherichia coli(大腸菌) 、 Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌) 、Kocuria rhizophilaに対する抗菌活性を観察し、リスト化しました。Eenterococcus属とStreptococcus属は強い抗菌性はもちませんが、Leuconostoc属は主にK。 rhizophilaに、Lactobacillus属はE。 coli、Lactococcus属はS。 aureusに対して強い抗菌活性を示しました。
(2)Lactococcus属のもつナイシンの同定
Lactococcus属のもつ抗菌物質は「ナイシン」と同定されています。特にナイシンAは食品添加物として認定されており、食品の消費期限の延長に活用されています。そこで岐阜乳酸菌株のうちLactococcus属41株全てのナイシンのタイプを遺伝子配列から同定しました。その結果、3株が変異型、残り全てがナイシンZを生産していることがわかりました。
活用分野・用途・応用例・商品例・事業化のイメージなど
食品産業への利用における乳酸菌選抜の指標の一つとして、抗菌活性およびその抗菌ペプチドの生産性をリスト化しました。Lactococcus属の抗菌物質「ナイシン」はタイプAが食品添加物として認定されていますが、同様の活性をもつ他のナイシン種は食品添加物として利用できません。しかし、他のナイシン種の生産能をもつ乳酸菌を食品加工の際に直接添加することで同様の機能が期待でき、乳酸菌株の利用用途が広がると考えています。
資料・ポスター
キーワード
乳酸菌ライブラリー、抗菌活性、抗菌ペプチド、ナイシン
出展した展示会
- アグリビジネス創出フェアin東海2020