Vol.50(2014年10月)
- 研究シーズ
1.三次元表示装置(バーチャル解剖模型)の開発
2.縞状ナノポーラス撥水相を利用したぬれの異方性制御 - 岐阜大学を知る
岐阜大学発 観葉植物(Fairy Wing)
特集1:研究シーズ1 工学部 電気電子・情報工学科 情報コース 木島 竜吾 准教授
~第28回小野木科学技術振興財団「最優秀賞」受賞~
現実に存在する物体にプロジェクタで画像を投影し、物体の内部が仮想的に透けてみえる状況を作り出す「自由曲面投影ディスプレイ」を開発してきた。物体に画像を投影すると、その形状によって画像は歪む。そこでスクリーンとなる物体形状、その物体の運動、観察者の視点位置を計測し、リアルタイムで歪み補正を行っている。運動視つまり、物体を動かせば内部構造の見え方が変わることは、立体知覚の大きな手がかりであり、これを利用してあたかも「物が透明になり、内部の構造が透けて見える」かのような状況を創り出した。原理は単純であるが、視点、プロジェクタ、物体の位置関係を高精度に把握するための校正技術群を開発することで、実用的な精度で利用することができるようになった。

特集2:研究シーズ2 工学部 化学・生命工学科 物質化学コース 髙橋 紳矢 助教、武野 明義 准教授
イノベーション・ジャパン2014にて研究成果を展示
近年、生物の機能表面を模倣したバイオインスパイアード界面をもつ新規の材料が種々創出され、一部は実用化され始めている。我々はこうした材料の中で、水滴のような液滴の付着性や滑落性に深く関係する”ぬれ性”を異方的に制御している稲の葉の表面に似た構造を高分子化フィルム表面で形成させることに成功した。
稲の葉表面(図1)には向軸性の葉脈(縦筋)が複数あり、これらのストライプ凹凸部により水滴滑落の方向に異方性を与えている。この構造をポリエチレン等の高分子表面に周期的にクレーズを複合することで模倣的に作製し、クレーズ相内部にあるナノオーダーの多孔領域がもつ撥水性を利用してフィルムのぬれの異方性が制御できることを紹介する。

特集3:岐阜大学を知る Learn gifu university
~バイオテクノロジー技術から誕生~ 岐阜大学発 観葉植物「フェアリーウィング」
観葉植物として親しまれているスパティフィラム(Spathiphyllum Schtt)は、その涼しげな草姿から、特に夏の室内で鑑賞できるインテリア植物として広く普及しています。
スパティフィラムは”メリー”や”モーツァルト”などの品種があり、その多くは草丈が30~50cmの中型種に分類され、小型種では”ミニメリー”があります。近年においては、住居環境の変化に伴って小型種が注目されてきており、何とか20cm以下の「ミニ・スパティフィラム」を作りたい、こうした思いが募ってきました。
そこで、染色体の倍数化技術を活用し、インテリアグリーンとして楽しめる髙い商品性のある”新たな観葉植物「フェアリーウィング」”の育成に至った訳です。名前については、花の部分が妖精の羽をイメージさせることから「フェアリーウィング」と名付けました。


