飲むヨーグルト(ドリンクヨーグルト)の共同開発

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ひるがの高原ドリンクヨーグルト

株式会社たかすファーマーズ

本社:岐阜県郡上市高鷲町ひるがの4670-233 資本金:5,850万円 従業員:20名

岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程
中川智行 教授

共同研究に至ったきっかけ

たかすファーマーズ:弊社は、長良川源流の地 標高900mにある“ひるがの高原”で自然の恵みを存分に活かし、丹誠込めて作る本物の美味しさを追求した牛乳やチーズなどを生産、販売しております。日本初となる低脂肪チーズ(カンコワイヨット)の製造段階で、どうしても雑菌が侵入しカビが繁殖する問題が解決できずに悩んでおりましたところ、岐阜大学の河合先生のお力を借りてその原因を突き止めることができたのが岐阜大学とのお付き合いの始まりでした。その後、あらたにドリンクヨーグルトを開発することになり、やるからには、ひるがの高原で独自に採取された乳酸菌を使おうということになり、乳酸菌のスクリーニング、同定を岐阜大学の中川先生にお願いすることになりました。

共同研究の内容・成果

たかすファーマーズ:新しい乳酸菌を探すにあたりまずこだわったのは、ひるがの高原で採取された乳酸菌を使うこと、ひるがの高原で作られる牛乳と相性が 良いこと、更に美味しくて作りやすいことでした。実際にひるがの高原のさまざまな場所や物から菌の採取を行いました。いちいの木、どぶろく、はちみつ、リンゴ、さらにはたくわんのような漬物などから400もの検体を採取し、まずは弊社で菌を培養することで200検体までの絞り込みを行い、それを岐阜大学の中川先生の研究室に持ち込んで、7属21種58株の新奇乳酸菌のスクリーニングと同定を行っていただきました。更にひるがの高原牛乳に適した風味、発酵状態の良好な5検体の有用菌で試作試飲を重ね、その中で最も優れた乳酸菌を「EC-11ひるがの菌」と名付けて商標登録し、ドリンクヨーグルトに使用することにすることで、濃厚で味わい深いドリンクヨーグルトが開発できました。選定にあたっては、候補の乳酸菌で実際にドリンクヨーグルトを作り、岐阜大学の学生さんにも試飲をしていただき、投票形式で味の選定を行っていただきました。

コメント

ご担当者様:株式会社たかすファーマーズ 石原晴雄様、古橋武様

ドリンクヨーグルトは平成22年9月に発売が開始され、すぐにたかすファーマーズの主力商品となり現在に至っています。150mlボトル品/750mlボトル品合わせて、年間9万本以上販売されております。おかげさまで、平成26年には岐阜県観光連盟推奨観光土産品と全国推奨観光土産品に認定されました。弊社の主力商品となっている“低脂肪チーズ(カンコワイヨット)”と“ひるがの高原ドリンクヨーグルト”はともに、岐阜大学との共同研究無しでは商品化できなかったものでありとても感謝しています。今後の更なる商品開発に向けて、またあらたに岐阜大学との共同研究ができる事を期待しています。

岐阜大学 応用生物科学部 応用生命科学課程 中川智行 教授

岐阜大学に赴任した当初から、たかすファーマーズ様にはお声をお掛けいただき、ドリンクヨーグルト開発に向けた新奇な乳酸菌の探索の共同研究をご提案いただきました。実は、このような自然界からの有用乳酸菌株の探索は、私にとって初めての挑戦であったため、最初は手探り状態で研究を始めたのを今でも思い出します。たかすファーマーズ様とスクリーニング方法を試行錯誤した結果、たかすの森から「EC-11ひるがの菌」を獲得でき、実際にドリンクヨーグルトを開発いただいた本共同研究は、現在でも思い出深い研究テーマの一つとなっています。

メディア掲載

▽NHK ▽中日新聞 ▽岐阜新聞