革新的な表面処理の共同研究開発

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MS PROCESSING(エムエス・プロセッシング)

株式会社エムエス製作所

愛知県清須市春日立作54番地2 資本金:3,811万円 従業員:40名

岐阜大学 工学部 機械工学科
上坂裕之教授

共同研究にいたったきっかけ

本社所在地の清須市で50年、我が社の主力製品である金型を製作してまいりました。金型を使用して成形という工程で製品を取り出すのですが、長年悩まされていたのが離形の問題、成形材料の流れの問題が金型にあると言われてきました。何か解決が出来ないかと考えてトライをしたのが表面処理による離形性向上でした。様々な表面処理をトライしてまいりましたが、工期がかかる、コストが高価などもある為に自社で必要と考えている表面処理が出来ないか検討を進める事にしました、そこで岐阜大学工学部の上坂教授に相談をさせて頂き共同開発で進める事になりました。開発に携わっていただいた工学部の上坂教授、高橋助教、森田さん(M2)、及び研究推進社会連携機構の深川特任教授(当時)には大変お世話になりました。

共同研究の内容・成果

金属製品の表面への硬質微粒子の投射により、高分子材料との接触界面における力学的な相互作用(付着、摩擦など)を制御できることに着目し、特に高分子材料の成形金型表面へ当該技術を適用した場合に、一定の条件下で最も効果を発揮することを明らかにしました。これは一つの条件設定ではなく、複数の条件バランスによって成立するものですから、その作用メカニズムを解明することに大学と共に取り組んできました。例えば、右図に示すように、MSプロセッシング処理を行った金型材料に押し付けたPMMAを引き剥がす際の力は、無処理の金型材料に押し付けたPMMAを引き剥がす力の半分程度でした。この要因として、MSプロセッシング処理によって金型材料とPMMAの接触面積が減ったためであることが示唆されています。これにより不良品が減り無駄なコストや手間を削減でき、金型の質の向上が製品のクオリティも高める、新たな可能性を感じられる表面処理となりました。

コメント

ご担当者様:株式会社エムエス製作所 営業部 諏訪裕吾様

鉄の摺動性(すべりやすさ)の良さが、金型成形時の離形性にも良い影響を与えるだろうということはわかっておりましたが、プラスチックなどの固い樹脂を成形する際にはそれがあてはまるものの、私たちが主力とするゴム製品などの成形時にも良い結果をもたらすのか不透明であり不安でした。岐阜大学との共同研究を通して金型表面処理の条件出しをくりかえすことで、安定して離形性の良さを実現できる表面処理条件を見つけ出すことができました。

岐阜大学 工学部 機械工学科 上坂裕之教授

すでにエムエス製作所さんは、現業でMSプロセッシングを最適化し、商売につなげられています。そのベースとなる新しい技術への探求心や技術開発力に感服するとともに、作用メカニズムを明らかにすればより多くの方が活用できて、エムエス製作所さんのビジネスチャンスもさらに拡大するのではないかと思っています。上記のような基礎的研究成果の積み重ねにより、金型表面の質を向上させることのメリットが誰にでもはっきりとわかるようになってきています。当該処理の新たな可能性が広がっていくことにワクワクしながら、楽しんで共同研究をさせて頂いております。