感覚・計測に基づく快適スーツの開発

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ロイヤルコンフォートスーツ

株式会社AOKI

本社:神奈川県 横浜市

岐阜大学 工学部
岡村政明名誉教授

共同研究にいたったきっかけ

(株)AOKIは独自の商品開発のために、商品開発室を設置し、お客様のニーズに応えるべく、信頼性のある商品作り、満足いただける商品作りに取り組んできた。こうした取組の中で、大学との連携を考え、糸開発のために岐阜大学工学部の岡村教授(当時)に依頼することとなった。最初の活動は、学生のインターンシップを活用して、スーツの機能性、素材の特性、着用快適性のアンケート調査を実施し、この調査結果を踏まえて、快適衣生活商品作りを目指して、岐阜大学との産学共同研究を開始。

共同研究の内容

着用快適性の高いスーツの開発を研究テーマに5年間(研究費1,000万円)に亘り、紡績機械の改良、ニュージーランドメリノウール原料使用によるウール100%ストレッチ糸の開発と同時に、肩周りの圧迫、窮屈感をなくすスーツの型紙の開発に取り組んだ。また、衣服圧測定、筋電図による筋活動量測定及び官能検査による性能評価を行った。

成果

開発された糸、型紙により着用時の圧迫感、窮屈感、つっぱり感を軽減し、着用時の動作拘束感が軽減され、着用快適性に優れた『ロイヤルコンフォートスーツ』を商品化し、2007年9月より発売した。このスーツは従来にない画期的な着用性を持っており、2009年度日本繊維機械学会賞技術賞を受賞した。

株式会社AOKI 柴田室長

従来に無いストレッチ性を有するウール糸の開発を行った為、開発したストレッチウール糸を使用して試作しました。毛織物の仕上工程を実用化するために試行錯誤し、実験と評価の連続であり、さらに、被験者がスーツを着用した際の着心地を客観的に評価するための生理学的機能量(静的衣服圧、筋電図)の計測・評価法の確立に2年間の時間を要しました。