新開発ミキシングノズル
有限会社カワダ精工
本社:岐阜県揖斐郡大野町瀬古408-2 資本金:540万円 従業員:11名
岐阜大学 工学部 機械工学科
菊地聡 准教授
共同研究に至ったきっかけ
カワダ精工:幣社が中小企業等経営強化に基づく「経営革新計画」を岐阜県に申請し、それをご覧になった岐阜大学の産官学連携推進本部の方が、共同研究テーマ探索のために弊社を訪ねてこられたのが始まりです。カワダ精工は非常に小さな会社であり、大学の先生方やその研究とはまったく無縁だと思っておりましたが、産学連携コーディネーターに訪問いただいた際に、幣社がこつこつと開発を行っていたプラスチック射出成形用のミキシングノズルにおいて、これまで苦労していた色むらの改善などを簡単にご説明したところ、岐阜大学の流体工学の先生の知見を組み合わせればその課題を解決できる可能性があることがわかり、共同研究に至りました。
共同研究の内容・成果
カワダ精工:射出成形とは、加熱溶融させた材料を金型内に射出注入することで、主にプラスチック製品などを製造する方法です。ミキシングノズルは、射出成形機の先端部に取り付けて、材料と着色ペレットなどの複数の材料を混ぜ合わせる部品です(図1)。他社メーカーのミキシングノズルは内部構造が複雑で高価であり、さらに洗浄がやりにくいなどの課題がありました。新開発のミキシングノズルでは、装置内に簡単な隔壁を設けてノズル内の圧力を調整することで、材料樹脂の色むら低減が可能となり、さらに糸引き不良も低減できました。岐阜大学では、樹脂の流れと混合の様子を見える化していただき、隔壁の枚数や形状による混合効果の違いについても実験を行っていただきました(図2)。この新開発ミキシングノズルは構造がシンプルであるために、従来品より安価であり洗浄もやりやすく、自動車部品大手メーカーにも採用いただくことができました。
コメント
ご担当者様:有限会社カワダ精工 代表取締役 河田剛様
今回、共同研究を行ったことにより、これまで経験に頼ってきた開発の効率を上げることができました。私たちのような中小企業にとって大学は敷居の高いところですが、今回のように岐阜大学側から声をかけていただくことで、共同研究に繋げることができたのは幸運でした。弊社以外にも同じような課題を持った中小企業も多くあります。ぜひ、弊社以外にも広くお声をかけていただければ幸いです。
岐阜大学 工学部 機械工学科 菊地聡 准教授
これまではノズル内でどのように溶けた樹脂が流れ混ざるかが分かっていなかったということで、大学ではノズル内で流れがどのようになっているかを、流れの可視化により調べました。透明なアクリルパイプに隔壁を設置してノズル内を模擬し、流動特性が樹脂に近い高分子水溶液に色素を混ぜて見えるようにした液体を用いて、どのように流れていくかを観察しました。そこから得られた知見が、新製品の設計に役立ったということで、うれしい限りです。
メディア掲載
▽岐阜新聞 2016年10月26日 ▽日刊工業新聞 2016年9月8日 ▽中部経済新聞 2016年8月19日