野生動物捕獲罠 遠隔監視用
「オリワナシステム」
株式会社フォレストシー
本社:東京都江東区三好3-7-11 清澄白河フォレストビル 資本金:200万円 従業員:5名
岐阜大学 応用生物科学部 生産環境科学課程
森部絢嗣 准教授
共同研究に至ったきっかけ
フォレストシー:当社は、携帯圏外が多い中山間地でも広域に通信が可能な独自の無線規格「LP-WAVE(エルピーウェイブ)」を用いて、鳥獣被害対策の一環である罠捕獲を支援する「オリワナシステム」の開発に着手しました。罠が作動したことを遠距離無線で携帯圏外エリアからでも通知でき、罠の見回りの効率化、迅速な駆けつけ処理による食肉利用の質向上等に貢献します。従来から存在する携帯電話の3G回線を用いた製品と比べ、安価に広域をカバーできる独自の通信技術を用いた本製品を、次世代の捕獲通知システムとして、実験レベルではなく実用レベルの製品にすべく、野生動物の専門的見地から助言を頂くため、森部先生との共同研究に至りました。
共同研究の内容・成果
フォレストシー:当社が独自に開発した親機および中継機、子機を用いて実証実験を行いました。全ての子機にはGPS・マグネットセンサーが搭載されており、罠が作動すると子機の磁石が外れ、作動通知信号が親機まで送信され、クラウドサーバーを介して子機を登録したタブレット端末などの専用アプリ上に捕獲情報(捕獲通知・位置情報・電波状況・電池残量等)が表示されます。本製品・システムを用いて、岐阜県を中心に通信テストを実施したところ、結果として、岐阜県本巣市大茂山山頂から奈良県大台ケ原の稜線上までの約160kmもの距離で通信の送受信に成功しました。その他、同山頂から愛知県知多郡美浜町冨具崎の88km地点や、同山頂から岐阜県恵那市標高616mの69.5km地点でも通信を確認しました。いずれも見通しが良好な条件でしたが、見通しが悪いエリアでも電波の回り込みにより広範囲で通信成功し、直接は通信が出来ない不感地帯においても中継機を増設することで解消可能であることが確認されました。本システムによって、携帯圏外が多い遠隔の中山間地域であっても野生動物の捕獲情報の共有が容易になり、見回りの効率化による労力削減や、有害捕獲の報奨金申請の不正防止、獣肉のトレーサビリティシステムへの応用などにも発展が期待できます。
コメント
ご担当者様:株式会社フォレストシー 里山通信事業部 プロジェクトリーダー 藤本晶史様
森部先生は野生動物の生態に関する知識は勿論のこと、ICT機器に関する深い造詣をお持ちで、ユーザー目線でも非常に参考になるご意見を多数くださり、野生動物管理・鳥獣被害対策という当社にとって未知の分野での取り組みをするに当たって、羅針盤のような心強い存在でした。森部先生のご協力を糧に、今後もより一層、社会的な課題解決に役立つような製品作りに尽力して参る所存です。
岐阜大学 応用生物科学部 生産環境科学課程 森部絢嗣 准教授
離れた場所から「現場を知る」、これは昔から捕獲者や研究者にとって大きな課題です。様々な商品が開発されている中で、LPWA(Low Power, Wide Area)という通信技術を初めて聞いた時、独自の長距離通信網を個人レベルで構築できる可能性に大変感動したことを覚えています。その後、地域課題を解決したいという共通の想いから共同研究がスタートしました。開発は常にユーザーの行動や思考に留意して「現場で使える」をコンセプトに取り組みました。現場では机上の理論が通じないことも多く、何度も試行錯誤を繰り返し商品化に至りました。今後も「現場と人がつながる」を目指し、さらなる研究開発を進めていきます。
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