地域農産物『下呂産こんにゃく芋』を活用した冷凍用こんにゃくの開発

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冷凍こんにゃく

株式会社マンナン工房ひだ

(本社:岐阜県 下呂市) 資本金5000万円

岐阜大学 応用生物科学部
西津貴久教授

共同研究にいたったきっかけ

岐阜大学 西津教授: これまで小麦麺、パン、食用エマルションの冷凍による劣化機構の解明に関する研究を行ってきました。冷凍によりこんにゃくゲルの食感が著しく劣化することはよく知られているものの、その劣化機構はよくわかっていません。そのため(有)下呂特産加工からお申し入れのあった冷凍用こんにゃくのテーマは、研究対象として大変魅力的であり、その研究成果は依頼者の商品開発につながるものと思い、共同研究を開始することになりました。

共同研究の内容

岐阜大学 西津教授

研究開始早々に、こんにゃく製造工程の把握と研究用試料の作製方法を検討するため、こんにゃく生産量日本一の群馬県にある食品メーカーを訪問しました。ここで現地メーカーの方から冷凍食品にこんにゃくが使えるようになると商品開発の幅も広がる上、販路も大きく拡大するだろうとの見通しを語られ、この研究に対する期待をひしひしと感じました。共同研究における私の役割は、冷凍による品質劣化機構、特にテクスチャーの特性が劣化する機構を解明すること、および冷凍耐性を付与する手段を見出すことでした。冷凍耐性を付与するために様々な取組が行われてきておりますが、いずれも決定的な解決方法には至っていないのが現状です。冷凍によるゲルのテクスチャー変化や光沢の変化は氷結晶生成によるゲル構造破壊に起因するとの考えから、従来から行われてきた配合や方法で作製したこんにゃくの微細構造の違いを検討することから研究を開始しました。

成果

岐阜大学 西津教授:上記研究の過程で、いくつかのアイデアをもとに作製した試作品のひとつが、冷凍耐性の点で、ある程度有効であることがわかり、今回の製品化につながりました。 ※2017年 6月 掲載

株式会社マンナン工房ひだ 北野勝広 代表取締役

平成25年度 岐阜県農商工連携ファンド事業を活用させて頂き、岐阜大学と冷凍耐性に拘ったこんにゃく(冷凍解凍しても味・食感が損なわれない)の共同研究をスタートしました。冷凍食品業界ではこんにゃくの需要用途は多様に渡りますが解凍後の品質等に課題が残り需要が伸び悩んでいる現状がありました。今回の西津教授との共同研究により我々では解明できないこんにゃくの特性や問題点を、色々な面から専門的な分析を大学で進めていただいた結果、常温の既存商品と遜色のない味・食感の冷凍耐性の商品化に成功しました。また、使用する原料も地元産こんにゃく芋を使用することによって地域資源を活用することで地域の活性化にも繋げていけると思います。今後、冷凍こんにゃくを弊社の重要主力商品として取り組んでいきたいと思います。

メディア掲載

▽テレビ放映:TBSがっちりマンデー「大学と会社がコラボ!儲かる!共同研究」2016年12月11日  ▽新聞掲載:日本経済新聞「マンナン工房ひだ、冷凍こんにゃくの販路拡大」2016年8月17日