地域創生プロジェクト
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RESEARCH CONTENT OF MEMBERS77PROJECT No.30KEY WORDSタンパク質/糖鎖/構造解析/相互作用解析/構造生物学/創薬/抗体医療/診断薬/健康食品/創薬エコシステム/先端研究機器の産業利用応用生物科学部応用生命科学課程山内 恒生准教授応用生物科学部共同獣医学科小畠 結准教授大学院医学系研究科生殖・発育医学講座大西 秀典教授名古屋大学創薬科学研究科廣明 秀一教授応用生物科学部応用生命科学課程海老原 章郎教授名古屋大学大学院医学系研究科セオ ウセオク特任准教授メンバー変異型SOD�タンパク質をターゲットとした犬の変性性脊髄症に対する治療薬の開発 私は、小動物の臨床神経病学を専門としており、致死性の神経変性疾患である、犬の変性性脊髄症(DM)の治療法を確立するため研究を行っています。DM発症犬は例外なくSOD�遺伝子変異を有しています。これまでに、変異型SOD�タンパク質の構造安定性が低下することにより、神経細胞内にSOD�タンパク質凝集体が蓄積し、神経変性が起こることを明らかにしてきました。本プロジェクトでは変異型SOD�タンパク質の構造安定性を上昇させる低分子化合物を創薬し、DMの新規治療薬の開発を目指します。希少遺伝性疾患責任遺伝子産物の構造解析に基づいた論理的創薬研究 我々の研究室では、小児期に発症する遺伝性難病の責任遺伝子の同定、責任分子の機能解析、責任遺伝子変異の病的意義の解析を蛋白立体構造解析を基に行なっています。特に自然免疫系の異常により発症する自己炎症疾患を対象とした研究を行なっており、MyD��、IL-��の構造解析の実績があります。また実際に対象疾患の診療活動を通じて症例、生体試料の蓄積も進んでおり、さらに関連学会とも連携し、レジストリへの情報蓄積を持続的に行なっています。本研究を通して希少難病の問題解決に取り組みます。凝集性タンパク質・天然変性タンパク質を標的とした新規創薬手法の開発 高感度・超高磁場NMRを用いたタンパク質・薬物相互作用の解析において、新しいデータ解析手法・創薬手法の開発に取り組んでいます。本プロジェクトでは、鎌足プロジェクトリーダの補佐をしつつ、特に疾病関連天然変性タンパク質やアミロイドなどの凝集性タンパク質など、クライオ電顕やX線解析では評価できない創薬標的に対する、低分子医薬・ペプチド医薬のシーズ探索と標的のバリデーションを行います。特に強みは天然変性タンパク質試料に特化した安定同位体標識技術です。DNAとタンパク質の結合性質から解き明かす新規転写制御機構 私は、韓国系カナダ人の研究者で日本に来て10年になります。遺伝子発現を司る転写制御因子がDNA特定領域を認識する仕組みに興味をもっています。私の研究の独創的なポイントは、転写因子とDNAの結合には質的差異があるという仮説に基づく点です。現在、私が研究している転写因子に対して、色々なDNA配列との結合力を調べています。このプロジェクトの領域以外でも、金属イオンによる免疫力の調整などにも興味をもっています。��名血圧調節タンパク質の構造機能解明と関連バイオマーカー測定系の構築 タンパク質はアミノ酸配列に従い三次元空間的に折りたたまれ機能部位を形成します。私は、タンパク質立体構造に基づく機能発見を目指しています。特に、配列のみから高正確に立体構造を予測できるAIツールAlphaFold�を活用し、膵臓がん進展に関与するタンパク質の機能部位の推定に成功しました(Hyperten. Res. ����)。本プロジェクトでは同ツール活用によるタンパク質構造の可視化に貢献できます。さらに、タンパク質研究をベースに進めている糖尿病合併症予見のバイオセンサー開発はSDGs目標3の達成とデジタルヘルスの産業基盤の充実を目指します。プロジェクトメンバーが取り組んでいる研究生物活性を有する天然由来成分の探索と作用機序の解明 私は、天然物化学を専門としています。自然界から生物活性をもつ有用分子の探索と構造解析を行っています。さらに分析化学、有機化学、分子生物学、構造生物学など多分野の技術を取り入れることにより、天然成分の作用メカニズムを明らかにしています。特に天然物化学にNMRを用いた構造生物学を他に先駆けて取り入れることで、天然成分の生体への影響を分子レベルで明らかにしてきました。

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