地域創生プロジェクト
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�名メンバーRAS阻害剤の開発、細胞膜透過性タンパク質の開発 私はタンパク質の構造生物学が専門で、プロジェクトではRAS阻害剤(細胞膜透過性タンパク質)の開発を主に担当しています。私の開発したRAS阻害剤は培養細胞モデル・マウスモデルいずれでもRASを阻害することができ、現在実用化に向けた改良研究を行っています。また、NMRなどの生物物理学的手法を用いてRASタンパク質の構造解析を行うこともできます。KEY WORDSRESEARCH CONTENT OF MEMBERS60PROJECT No.25RAS/RASオパチー/がん/脈管腫瘍/脈管奇形/脈管異常/モデル動物/治療薬/核酸医薬/タンパク質医薬/オーファンドラッグ医学部附属病院小児科小関 道夫臨床准教授応用生物科学部共同獣医学科宮脇 慎吾准教授応用生物科学部共同獣医学科平田 暁大准教授工学部化学・生命工学科、大学院連合創薬医療情報研究科上田 浩教授大学院連合創薬医療情報研究科本田 諒准教授大学院医学系研究科臨床解剖開発学講座杉戸 信彦特任助教ゲノム編集マウスによるRAS阻害剤の実戦的治療法の検討 私は、これまでに動物やiPS細胞の腫瘍形成に関する研究や、マウスの発生学の研究を行ってきました。現在は、マウスのゲノム編集により様々な疾患の遺伝子変異を再現する研究を展開しています。ゲノム編集はゲノムを1塩基レベルで改変できるため、様々なRAS変異をマウスで再現することができます。そのため、実際の腫瘍疾患で認められる変異を導入した実戦的なマウスを使ってRAS阻害剤の効果を検証することができます。その他にも、疾患再現マウスを使った治療法の開発など社会実装につながる研究を志向しています。疾患モデル動物の作製と実験病理学的研究 私は動物の疾患を形態学的に解析する獣医病理学が専門です。獣医師として動物の自然発生疾患の診断や研究を行うとともに、疾患モデル動物を用いた実験病理学的研究を行っています。これまで、様々な遺伝子改変マウスを駆使して、消化管腫瘍の発生機序を解析してきました。生体内でRAS阻害剤の作用機序やRAS関連疾患の病態を解析することで、科学的エビデンスに基づいた治療法の開発につなげます。動物種を問わず解析できることが私の強みであり、最近では動物を飛び出して3次元培養組織の解析も行っています。RASスーパーファミリーGタンパク質の機能制御に関する研究 私はGタンパク質に関する細胞内シグナル伝達制御機構について、細胞レベルで研究を行なってきました。このプロジェクトにおいては、阻害剤の開発を通して、それを利用した細胞内シグナル解析を行い、RASの未知機能について解析を行なっていきます。これまでに蓄積した様々なシグナル伝達関連遺伝子等を用い、他の細胞内シグナル経路との関係性等を探ることが可能であると同時に、それにより新規治療法の開発を目指すことができると考えます。核酸によるRAS阻害剤の開発とRASの機能解析 私はがん生物学、分子生物学を専門として、microRNAの抗がん効果を研究しています。プロジェクトでは、核酸によるRAS阻害剤の開発を目指し、培養細胞モデル、マウスモデルにおいて、生化学的な解析を用いて検証します。核酸によるRNA干渉を用いることで、従来の標的であったタンパクではなく、mRNAの翻訳を阻害することできるために、これまでとは別の視点から創薬を考えることができます。これまでにも希少腫瘍へのmicroRNAの抗がん効果の検証を行なった実績もあります。プロジェクトメンバーが取り組んでいる研究脈管異常に対する分子標的治療薬の開発 私は小児腫瘍治療を専門とする小児科医で、特に難治性脈管異常に対する分子標的治療薬の開発として、AMED等の研究費を獲得し、複数の医師主導治験、臨床研究の研究責任者として、実用化を進めています。また以前より東北大学遺伝病学教室との共同研究にてRAS経路を中心とした遺伝子解析やモデルマウスを用いた病態解明に取り組んでおります。本疾患は外科的治療が主流でしたが、分子標的薬での治療は病態を直接抑え、これまでの治療を遥かに凌ぐ効果が期待され、まさに治療のパラダイムシフトに直結する研究を目指しています。

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