地域創生プロジェクト
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�名転写後修飾ヌクレオシドの合成経路の解明および部位特異的RNA修飾法の開発 私は細胞に含まれるRNAがどのようにして機能を最適化しているのか、RNAが転写後に受ける化学修飾(転写後修飾)に焦点を当てて調べています。転写後修飾が細胞機能とどのように関わっているかを知るために、その合成経路に関わる遺伝子を探索します。転写後修飾がどのような反応機構で行われているか調べることでRNAに部位特異的に化学修飾を導入し、核酸医薬に応用することができます。また、転写後修飾が細胞機能とどのように関わるか調べることで核酸医薬が細胞内でどのように機能するか調べることができます。RESEARCH CONTENT OF MEMBERS58PROJECT No.24KEY WORDS核酸/DNA/RNA/核酸医薬/mRNA/ワクチン/低分子医薬/感染症/パンデミック/抗ウイルス薬/核酸化学/医学/薬学/獣医学/生物学/工学/化学/健康/長寿工学部化学・生命工学科岡 夏央教授応用生物科学部共同獣医学科森 崇教授応用生物科学部応用生命科学課程上野 義仁教授高等研究院平島 一輝特任助教工学部化学・生命工学科横川 隆志教授メンバー小動物における腫瘍性疾患の新規治療法の開発 附属動物病院で犬猫のがん治療を担当しており、microRNAを利用した新たな抗腫瘍薬の開発を行っています。特に抗腫瘍薬候補microRNAの選別、in vitroおよびin vivoによる検証、さらに動物病院に来院した犬猫の実際の患者に対する投与試験まで行うことが可能です。実際に犬の自然発生メラノーマに対する局所投与試験で効果を認めた候補microRNAも存在します。また、最終的には人の抗癌剤としても開発できるよう、動物と人のがんの共通点を攻撃するようなmicroRNAを候補として開発を進めています。核酸医薬を指向した新規人工ヌクレオシド並びに人工オリゴヌクレオチドの化学合成 天然の核酸は細胞中へ入りにくいという物理的な問題に加えて、生体内に存在する核酸分解酵素(ヌクレアーゼ)により容易に分解されてしまうため、医薬品として開発するためにはこれらの問題を解決する必要があります。これらの問題点を解決するために、核酸の構成成分であるヌクレオシドに化学的に修飾を加えて構造を改変した人工ヌクレオシド(アミノアルキル修飾ヌクレオシド)を開発してきました。また、この人工ヌクレオシドを導入した核酸医薬候補がヌクレアーゼに対して抵抗性を示し、血清中で安定に存在すること、標的遺伝子の発現を効果的に抑制することを明らかにしてきました。核酸医薬の細胞・動物モデルにおける評価 私は分子生物学と実験病理学を専門としており、核酸のうち特にマイクロRNAとよばれるnon-coding RNAについて研究しています。培養細胞や動物モデルを用いて核酸の機能を分子生物学的、病理組織学的に評価できます。マイクロアレイや次世代シークエンサー、代謝分析などで得られる網羅解析データを評価し、細胞に与える影響を統合的に理解することができます。また、特にマイクロRNAについては、細胞・組織内における核酸の分布をin situ hybridizationで評価することができます。プロジェクトメンバーが取り組んでいる研究新規修飾核酸の化学合成法の開発と核酸医薬・mRNAワクチン・低分子医薬への応用 私は有機化学を専門としており、核酸や糖の化学合成法・化学修飾法を研究しています。核酸が医薬品として働くためには、標的とする組織・細胞への送達、細胞内への移行、代謝安定性、標的核酸等への選択的な作用などが必要ですが、これらを全て兼ね備えた核酸分子は未だ開発されていません。私のチームでは、独自開発した糖骨格構築反応やリン酸化などの基盤技術を駆使し、核酸医薬として理想的な性質を備えた化合物の開発に取り組みます。この様な化合物は、核酸医薬やワクチンだけでなく、低分子医薬品としての応用も期待されます。

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