�名ストレス関連疾患を緩和する動物介在療法の基礎構築 私は、獣医寄生虫学研究室で血液凝固に関する研究をする一方で、附属動物病院で臨床獣医師として勤務しています。伴侶動物と接するとオキシトシンの分泌が高まり、ストレスが緩和されことが知られています。このプロジェクトでは、将来的にストレス関連疾患を緩和する動物介在療法を確立するための基礎として、オキシトシンのストレス応答に対する作用の解明を分担します。ペットと見つめ合うことで、IBSの症状を緩和し、QOLを向上させることが将来的な目標となります。RESEARCH CONTENT OF MEMBERS40PROJECT No.17KEY WORDS過敏性腸症候群(IBS)/ストレス/下痢・便秘、痛覚過敏/QOL/過活動膀胱/膀胱炎/睡眠障害/うつ/聴覚・前庭覚/獣医/オーダーメイド医療/大腸運動/医薬獣連携大学院医学系研究科生命原理学講座任 書晃教授応用生物科学部共同獣医学科椎名 貴彦教授応用生物科学部共同獣医学科海野 年弘教授応用生物科学部共同獣医学科志水 泰武教授応用生物科学部共同獣医学科鬼頭 克也教授岐阜薬科大学生化学研究室五十里 彰教授メンバーストレスが大腸運動に及ぼす影響 私は、生理学的な実験のみならず、分子生物学的な実験も得意としています。ストレスが大腸運動に及ぼす影響の解明を担当します。特に、ストレスに応答する脳部位を特定し、大腸からの情報入力に関係する神経路と大腸運動を調節するための神経経路の両方に着目して、全体像を解明します。これがわかると、大腸の異常と他の臓器や脳の異常が同時に発生するメカニズムがわかるはずです。ストレスがこのような神経経路に影響を与える様子を捉えることが目標です。膀胱の機能障害が大腸運動に与える影響 私は、膀胱、子宮、消化管、血管などを構成する平滑筋の機能を研究しています。このプロジェクトでは炎症による膀胱の排尿障害を発生させたときに大腸運動がどのように変化するか、逆に大腸に痛覚過敏が発生したときに膀胱の機能がどのような影響を受けるかという実験を分担します。下痢と排尿障害は全く別の臓器で起こる別の疾病ですが、これらに因果関係のあることが解明できれば独創的な成果となります。将来的には、IBSの患者に膀胱に作用する薬を使うことがあるかも知れません。痛みの制御系と大腸運動の制御機構のクロストーク 私は、痛みを制御する下行性疼痛抑制系と脊髄を中枢として機能する大腸運動制御系の連動を研究しています。このプロジェクトでは、睡眠障害や膀胱炎によって下行性疼痛抑制経路が影響を受け、結果的に大腸運動が乱れるという仮説を検証することを担当します。痛覚過敏と排便異常が連動するという発想は独創的なポイントとなります。ストレスに関連する疾病は、まさにオーダーメイド医療の対象であると思いますので、新しい治療法の提案につなげたいです。膜輸送の障害に起因する消化管運動異常の機序解明 私は、消化管や尿細管における膜輸送体の機能、発現、局在の異常機構を調べ、様々な疾病に対する新しい診断・治療法の開発に取り組んでいます。このプロジェクトでは、膜輸送の障害に起因する消化管機能異常のモデルにより、消化管機能と膀胱機能、あるいは消化管機能と脳機能の相関を分析します。また、ストレス関連疾患を緩和するための治療標的の同定と治療薬の開発も視野に入れます。特徴的な医薬獣連携研究の中核として取り組みたいと考えています。プロジェクトメンバーが取り組んでいる研究聴覚・平衡覚の仕組みの解明とその臨床医学的応用法の開発 私は、内耳を末梢器官とする2つの感覚、聴覚・平衡覚の電気生理学・生物物理学的研究を専門としています。プロジェクトでは、脳や自律神経機能を修飾できる両感覚の仕組みに依拠して、音や加速度(重力)に着目した新しい治療法の開発を担当しています。音や加速度は、非侵襲的に感覚刺激を行えることから、早期の臨床応用が期待できる刺激法です。研究では、主に実験動物を対象に生体計測を実行し、消化管機能不全の症状緩和に繋がる効果的な刺激方法を探索します。
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