地域創生プロジェクト
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�名犬の遺伝性止血異常の診断およびモデルマウスの止血機能の解析 私は、伴侶動物の止血異常に関する研究を行う一方、附属動物病院で血液内科診療を担当し、全国の動物病院から止血異常を診断するための精密検査を受託しています。これまで犬の血友病、プレカリクレイン異常症、高分子量キニノゲン異常症などの遺伝性疾患を診断しました。このプロジェクトでは、犬の新規の遺伝性止血異常の診断、モデルマウスの止血機能の解析と評価を分担します。本プロジェクトでは、犬の止血異常に遺伝子治療を実現することで、犬の生命を守り、人と犬とが調和した健全な社会を築くことが将来の目標です。RESEARCH CONTENT OF MEMBERS28PROJECT No.12KEY WORDS犬/遺伝性疾患/マウスモデル/ゲノム編集/遺伝子治療/ゲノム解析/診断系/血液疾患/消化管疾患/免疫介在性疾患/神経疾患/臨床病理/実験病理応用生物科学部共同獣医学科平田 暁大准教授応用生物科学部共同獣医学科前田 貞俊教授応用生物科学部共同獣医学科宮脇 慎吾准教授応用生物科学部共同獣医学科鬼頭 克也教授メンバー犬と猫に備わるアレルギーを起こさない遺伝的仕組みの解明と治療への応用 20年以上にわたるアレルギー診療を通じて、ヒトはアトピー性皮膚炎(AD)と気管支喘息(BA)を併発する一方、犬はAD、猫はBAのみしか発症せず、併発しないことに気づきました。つまり、アレルギー発症には明確な動物種差が存在し、犬においてはBA、猫においてはADを発症しない未知の遺伝的な仕組みが存在していると考えています。種を超えた比較生物学的な視点からADまたはBAの発症抑制機構を解明し、アレルギー根治を目指します。ゲノム編集による犬の遺伝性疾患を再現したマウスの作製 私は、マウスのゲノム編集により様々な犬の遺伝性疾患のモデルマウスを作製してきました。このマウスは犬の遺伝性疾患をゲノムレベルで再現していることから、着目した遺伝子変異が遺伝性疾患を起こす原因になっていることを明らかにでき、さらにマウスを使って犬の遺伝子治療の開発を可能にします。本プロジェクトでは犬の臨床獣医学とマウスの実験病理学を、犬遺伝性疾患再現マウスで繋ぐことにより、これまでに原因が不明で治療法のなかった疾患の克服を目指します。犬の遺伝性神経疾患の病態解明と治療法の確立 私は小動物の臨床神経病学を専門としており、犬の遺伝性神経疾患の一つである変性性脊髄症の病態解明および治療法の確立を目的に研究を行ってきました。犬の変性性脊髄症は人の家族性筋萎縮性側索硬化症と類似した疾患であるため、犬での研究成果は獣医療だけでなく人医療の発展にも貢献できる可能性があります。本プロジェクトでは、獣医臨床の現場から遺伝性神経疾患に罹患した動物を見つけ出し、その病態解明および新規治療法の開発に寄与します。さらに、犬の遺伝性神経疾患で得た研究成果を人医療で応用する方法を模索することで、より波及効果の高い研究を目指します。応用生物科学部共同獣医学科小畠 結准教授プロジェクトメンバーが取り組んでいる研究犬の遺伝性疾患の原因および病態の解析:動物種を超えた解析 私は動物の疾患を形態学的に解析・診断する獣医病理学を専門としています。動物の自然発生疾患の診断や研究と並行して、遺伝子改変マウスを用いた実験病理学的研究を行っています。本プロジェクトでも実際の犬の症例と疾患モデルマウスの両者の病態解析を担い、その掛橋しとなります。また、これまでにも新たな遺伝性疾患の同定に成功しており、今後も日々の病理診断を通して新たな疾患を探索していきます。科学的知見を社会実装につなげ、遺伝性疾患を克服するには産学連携が不可欠であり、学内外のパートナーを歓迎致します。

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