プロジェクトWEB冊子2025
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�名KEY WORDS28PROJECT No.12メンバーRESEARCH CONTENT OF MEMBERS犬と猫に備わるアレルギーを起こさない遺伝的仕組みの解明と治療への応用 ��年以上にわたるアレルギー診療を通じて、ヒトはアトピー性皮膚炎(AD)と気管支喘息(BA)を併発する一方、犬はAD、猫はBAのみしか発症せず、併発しないことに気づきました。つまり、アレルギー発症には明 確 な 動 物 種 差 が 存 在し、犬 においてはBA、猫においてはADを発症しない未知の遺 伝 的 な仕 組 みが存 在していると考えています。種を超えた比較生物学的な視点からA D また は B A の 発 症 抑 制 機 構 を解 明し、アレルギー根治を目 指します。平田 暁大前田 貞俊犬 / 遺 伝 性 疾 患 /マウスモデル / ゲノム編 集 / 遺 伝 子 治 療 / ゲノム解 析 / 診 断 系 / 血 液 疾 患 / 消 化 管 疾 患 /免疫 介 在性疾患/ 神経 疾患 /臨床 病理/実験病理宮脇 慎吾小畠 結鬼頭 克也准教授准教授名誉教授准教授教授応用生物科学部応用生物科学部共同獣医学科応用生物科学部共同獣医学科応用生物科学部共同獣医学科応用生物科学部共同獣医学科ゲノム編集による犬の遺伝性疾患を再現したマウスの作製 私は、マウスのゲノム編集により様々な犬の遺伝性疾患のモデルマウスを作製してきました。このマウスは犬の遺伝性疾患をゲノムレベルで再現していることから、着目した 遺 伝 子 変 異 が 遺 伝 性 疾 患 を 起こす原 因 に なって いることを 明らか に でき、さら に マウスを使って犬の遺 伝 子 治 療の開 発 を可 能にします。本プロジェクトでは犬の臨床獣医学とマウスの実験病理学を、犬遺伝性疾患再現マウスで繋ぐことにより、これまでに原因が不明で治療法のなかった疾患の克服を目指します。犬の遺伝性神経疾患の病態解明と治療法の確立 私は小動物の臨床神経病学を専門としており、犬の遺伝性神経疾患の一つである変性性脊髄症の病態解明および治療法の確立を目的に研究を行ってきました。犬の変性性脊髄症は人の家族性筋萎縮性側索硬化症と類似した疾患であるため、犬での研究成果は獣医療 だ けでなく人医療の発展にも貢献できる可能性があります。本プロジェクトでは、獣医臨床の現場から遺伝性神経疾患に罹患した動物を見つけ出し、その病態解明および新規治療法の開発に寄与します。さらに、犬の遺伝性神経疾患で得た研究成果を人医療で応 用する方 法を模 索することで、より波 及効果の高い研究を目指します。犬の遺伝性止血異常の診断およびモデルマウスの止血機能の解析  私 は 、伴 侶 動 物 の 止 血 異 常 に 関 する研 究 を 行 う一 方 、附 属 動 物 病 院 で 血 液内 科診 療 を担 当し、全 国の動 物 病 院から止 血 異 常 を診 断 するた め の 精 密 検 査 を受託しています。これまで犬の血友病、プレカリクレイン異 常 症、高 分 子 量キニノゲン異常症などの遺伝性疾患を診断しました。このプロジェクトでは、犬の新規の遺伝性止血異常の診断、モデルマウスの止血機能の解 析と評 価を分 担します。本プロジェクトでは 、犬の止 血 異 常に遺 伝 子 治 療を実 現することで、犬の生命を守り、人と犬とが調和した健全な社会を築くことが将来の目標です。プロジェクトメンバーが取り組んでいる研究犬の遺伝性疾患の原因および病態の解析:動物種を超えた解析 私は動物の疾患を形態学的に解析・診断する獣医病理学を専門としています。動物の自 然 発 生 疾 患 の 診 断や研 究と並 行して、遺 伝子改変マウスを用いた実験病理学的研 究 を行っています。本プロ ジェクトでも実 際 の 犬 の 症 例 と疾 患 モ デル マウス の両 者 の 病態解析を担い、その掛橋しとなります。また 、こ れ まで に も 新 た な 遺 伝 性疾 患 の同定に成功しており、今後も日々の病 理 診 断を通して新たな疾 患を探 索していきます。科学的知見を社会実装につなげ、遺 伝 性 疾 患 を克 服するに は 産 学 連 携 が不 可 欠であり、学内外のパートナーを歓迎致します。

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