プロジェクトWEB冊子2025
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�名PROJECT No.11メンバー24KEY WORDSRESEARCH CONTENT OF MEMBERS野生動物が保有する人獣共通感染症病原体の調査 これまでに人獣共通感染症原虫であるネズミバベシア、クリプトスポリジウム、トキソプラズマの 野 生 動 物・家 畜 にお ける保 有実態調査を行なってきました。これらは動物に対しては無症状であるにもかかわらず、ヒトに病原性を示すものもあるため、その調査は不 可 欠 です。本 PJ では 、東 海 地 区 の 野 生動 物 におけるこれら原虫や、ウイルス等の保有実態を調査するとともに、マダニなど媒介節足動物における人獣共通感染症病原 体 の 検 出 系 確 立 及 び 保 有 状 況 調 査 も実施していく予定です。伊藤 直人正谷 達謄遺 伝 的 多 様 性 /ウイルス/ 感 染 制 御 / 家 畜 / 寄 生 虫 / 個 体 差 / 細 菌 / 自 然 宿 主 / 人 獣 共 通 感 染 症 / 病 原 性 /野生動物/診断系  宮脇 慎吾中川 敬介高島 康弘森部 絢嗣教授准教授准教授准教授教授准教授応用生物科学部共同獣医学科応用生物科学部共同獣医学科応用生物科学部共同獣医学科応用生物科学部共同獣医学科応用生物科学部共同獣医学科社会システム経営学環マウスの発生工学による地域の野生動物のモデル動物化 私は、iPS細胞やゲノム編集マウスなどの分子生物学的手技を使って、マウスの発生学や犬や猫を対象とした臨床獣医 学の研究を行ってきました。これまでに培ってきた実験手技を野生動物の感染症研究に発展させることで、発生学と感染症学を融合した新領域の創成を目指します。本PJでは、ゲノム編集による野生動物の遺伝子再現マウスや、発生工学により野生マウスと実験用マウスのハイブリットマウスなどを作製し、これまで詳細な解析が困難であった地域の野生動物感染症の実態に迫ります。コロナウイルス感染症の疫学調査と病態再現マウスの樹立 コロナウイルスの研究を��年近く続けております。新 型 コ ロ ナ ウイルスの 流 行 はコロナウイルスを人の感染症と認識させた一 方 で、動 物 のコ ロ ナウイルスは 家 畜 と伴 侶動物に現在も大きな健康被害をもたらします。これまで私は猫や牛のコロナウイルスが普段どこにいるのかを調べてきました。本研究では、調査対象を野生動物にも広げるとともに、コロナウイルス研究の課題である「病態再現マウスの樹立」に取り組みます。本 研 究 成 果 は 地 域の感 染 症 対 策に加え、基礎ウイルス学にも大きく貢献する可能性があります。地域の野生動物の感染感受性の研究  寄 生 虫をはじめとする病 原 体と宿 主の関係を研究してきました。このプロジェクトでは東海地方に生息するげっ歯類のうち、どのような条件を満たす種・個体が重要な病原体に無症状のまま感染し、それを人や家 畜に伝 播し得るのか実 験 的に明らかにします。ひとくちに「ねずみ」といってもその種類や遺伝的背景は千差万別。実験用マウスとは全く異なった感染感受性を示しそうな個体を既に野外でいくつか確認しています。本PJ以外にも動物の寄生虫疾患の分野で共同研究を歓迎いたします。地域の野生動物の生物地理学、自然史的研究 私は野生動物を対象とし、これまでに日本各 地・海 外で哺 乳 類 を自ら捕 獲し、分 類・種分化・生物地理に関する研究を行ってきました 。基 礎 的 な自 然 史 研 究 の他 に鳥 獣対 策 の 一 環 として、シカ等 を容 易 に 捕 獲できる「誘 引 誘 導 型 捕 獲 法」の開 発、地 元住民による自衛的捕獲体制や捕獲個体の地域資源化体制の構築を行ってきました。さらにジビエ解体処理施設を野生鳥獣のモニタリングステーションとして、恒常的なサンプリングを県内解体処理施設と連携し、収集・分析体制の構築を図っています。プロジェクトメンバーが取り組んでいる研究人獣共通感染症の生態・病原性の研究 ロタウイルス等の人獣共通病原体の生態および病 原 性 に関する研 究 を展 開しています。ロタウイルスは 野 生 動 物 や 家 畜 の無 症状個体から検出される一方で、時に、人 や 家 畜 に 重 篤 な 腸 炎 を発 症させます。このプロジェクトでは、これまで未解明 な人獣共通感染症の「無症状」と「発症」の間に存 在する機 序 を、新 た に 開 発するモデル動 物 を活 用して解 明します。さらに、その知見を地域の感染症対策に還元します。

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