地域創生プロジェクト
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�名RESEARCH CONTENT OF MEMBERS24PROJECT No.11KEY WORDS遺伝的多様性/ウイルス/感染制御/家畜/寄生虫/個体差/細菌/自然宿主/人獣共通感染症/病原性/野生動物/診断系  応用生物科学部共同獣医学科伊藤 直人教授応用生物科学部共同獣医学科正谷 達謄准教授応用生物科学部共同獣医学科宮脇 慎吾准教授応用生物科学部共同獣医学科中川 敬介准教授応用生物科学部共同獣医学科高島 康弘准教授社会システム経営学環森部 絢嗣准教授メンバー地域の野生動物の感染感受性の研究 寄生虫をはじめとする病原体と宿主の関係を研究してきました。このプロジェクトでは東海地方に生息するげっ歯類のうち、どのような条件を満たす種・個体が重要な病原体に無症状のまま感染し、それを人や家畜に伝播し得るのか実験的に明らかにします。ひとくちに「ねずみ」といってもその種類や遺伝的背景は千差万別。実験用マウスとは全く異なった感染感受性を示しそうな個体を既に野外でいくつか確認しています。本PJ以外にも動物の寄生虫疾患の分野で共同研究を歓迎いたします。野生動物が保有する人獣共通感染症病原体の調査 これまでに人獣共通感染症原虫であるネズミバベシア、クリプトスポリジウム、トキソプラズマの野生動物・家畜における保有実態調査を行なってきました。これらは動物に対しては無症状であるにもかかわらず、ヒトに病原性を示すものもあるため、その調査は不可欠です。本PJでは、東海地区の野生動物におけるこれら原虫や、ウイルス等の保有実態を調査するとともに、マダニなど媒介節足動物における人獣共通感染症病原体の検出系確立及び保有状況調査も実施していく予定です。マウスの発生工学による地域の野生動物のモデル動物化 私は、iPS細胞やゲノム編集マウスなどの分子生物学的手技を使って、マウスの発生学や犬や猫を対象とした臨床獣医学の研究を行ってきました。これまでに培ってきた実験手技を野生動物の感染症研究に発展させることで、発生学と感染症学を融合した新領域の創成を目指します。本PJでは、ゲノム編集による野生動物の遺伝子再現マウスや、発生工学により野生マウスと実験用マウスのハイブリットマウスなどを作製し、これまで詳細な解析が困難であった地域の野生動物感染症の実態に迫ります。コロナウイルス感染症の疫学調査と病態再現マウスの樹立 コロナウイルスの研究を10年近く続けております。新型コロナウイルスの流行はコロナウイルスを人の感染症と認識させた一方で、動物のコロナウイルスは家畜と伴侶動物に現在も大きな健康被害をもたらします。これまで私は猫や牛のコロナウイルスが普段どこにいるのかを調べてきました。本研究では、調査対象を野生動物にも広げるとともに、コロナウイルス研究の課題である「病態再現マウスの樹立」に取り組みます。本研究成果は地域の感染症対策に加え、基礎ウイルス学にも大きく貢献する可能性があります。地域の野生動物の生物地理学、自然史的研究 私は野生動物を対象とし、これまでに日本各地・海外で哺乳類を自ら捕獲し、分類・種分化・生物地理に関する研究を行ってきました。基礎的な自然史研究の他に鳥獣対策の一環として、シカ等を容易に捕獲できる「誘引誘導型捕獲法」の開発、地元住民による自衛的捕獲体制や捕獲個体の地域資源化体制の構築を行ってきました。さらにジビエ解体処理施設を野生鳥獣のモニタリングステーションとして、恒常的なサンプリングを県内解体処理施設と連携し、収集・分析体制の構築を図っています。プロジェクトメンバーが取り組んでいる研究人獣共通感染症の生態・病原性の研究 ロタウイルス等の人獣共通病原体の生態および病原性に関する研究を展開しています。ロタウイルスは野生動物や家畜の無症状個体から検出される一方で、時に、人や家畜に重篤な腸炎を発症させます。このプロジェクトでは、これまで未解明な人獣共通感染症の「無症状」と「発症」の間に存在する機序を、新たに開発するモデル動物を活用して解明します。さらに、その知見を地域の感染症対策に還元します。

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