RESEARCH CONTENT OF MEMBERS104PROJECT No.42KEY WORDS気候変動適応/自然共生社会/地域循環共生圏/生態系サービス/流域圏/気象/森林/河川/水環境/農林水産業/社会システム/共創環境社会共生体研究センター原田 守啓副センター長応用生物科学部生産環境科学課程大西 健夫教授応用生物科学部生産環境科学課程松井 勤教授環境社会共生体研究センター 村岡 裕由教授社会システム経営学環髙木 朗義教授環境社会共生体研究センター 温暖化により引き起こされる流域の水・物質循環の変化は、河川・農地を含む流域の水域・土壌環境の変化をもたらし、生態系、生物種にも影響を及ぼします。 温暖化による流域の水・物質循環の変化を観測とモデリングにより定量評価します。また、この結果にもとづき河川・農地の生態系・生物種のありうる変化を評価します。さらに、社会システム研究領域との連携により、リスク評価等にもとづき地域の温暖化適応策を構築していくことを目指します。環境社会共生体研究センター 気候変動の影響は、単に平均気温が上がるだけでなく、台風の強度が増し、豪雨の頻度や強度が増すと予想されています。そして、その影響は各方面で既に現れつつあると言われています。私たち環境変動適応研究領域では、独自の天気予報の技術に基づいて、温暖化の影響を細密に予測し、森林、水環境、農業、経済の諸問題に対する地域スケールの気候変動影響評価のための基礎データを提供します。また、産官学の連携により、新たな気候変動適応ビジネスを創出し、地域の安全・安心と生産性の向上に貢献して参ります。皆さんの気候情報に対するニーズを是非お聞かせ下さい。工学部社会基盤工学科吉野 純教授環境社会共生体研究センター 岐阜県はわが国有数の柿の産地ですが、近年の気温上昇により果皮の着色不良といった栽培上の課題が浮き彫りになってきています。またイネは高温により障害を受け不稔化し収量の低下が懸念されます。このような気候変動によって引き起こされる農作物の品質や収量の影響を調査することで、その適応策を検討していきます。例えば、気候変動に適応した新しい品種の育種や、これまで岐阜県では栽培されてこなかった亜熱帯果樹など新しい作物品目の栽培適地マップの作成による代替作物の栽培を検討、気候変動に適応した栽培技術開発に貢献します。環境社会共生体研究センター 森林は、大気CO�濃度の調節や水源涵養、土壌や河川中の水質調節、バイオマス資源の生産など多様な「生態系機能」によって私たちの日々の暮らしを支えています。ところが温暖化や豪雨・豪雪といった異常気象の増加は、植物や土壌微生物などの活動及び生態系機能に影響を及ぼしています。 私たちは気候変動やヒトによる森林利用の在り方が森林やその機能に与える影響を、フィールド観測、リモートセンシング、生態系モデルなどを用いて解明し、自然環境の持続性の観点から地域の気候変動適応に貢献します。環境社会共生体研究センター 気候変動や人口減少が岐阜県という地域社会や経済、および歴史や文化・伝統にもたらす影響を分析するとともに、それらの問題を解決する、あるいは変化というピンチをチャンスに変える方策など、地域環境変動に適応した社会システムを提案していきます。特に、様々な外部性の評価とそれに基づく政策デザイン、対価性の低い社会的ニーズの経済システムへの内部化、公共政策やソーシャルビジネスへの落とし込み、地域社会における協働や共創の仕組みなどについて探究していきます。プロジェクトメンバーが取り組んでいる研究環境社会共生体研究センター 地域の持続可能性に影響を及ぼしうる環境の変動に対する適応を、気候気象学、森林科学、水文学、水環境工学、河川工学、農学、生態学、社会システム…と岐阜大学の幅広い分野の専門家の連携によって推進するために設置した地域環境変動適応研究センターの活動を通じて『適応』に向けた多様なニーズに応える研究開発と、適応策の共創を実践しています。地域の行政・産業・市民の皆様、全国の関連研究コミュニティの皆様とも力を合わせ、気候変動・人口減少に適応した22世紀型の流域圏の実現を、環境科学技術の側面から強力に推進してまいります。
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